日本には重症の睡眠時無呼吸症候群の方が約300万人存在するといわれています。
しかし、実際には病院を受診せず適切な治療を受けていないことが問題のようです。
睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病や心筋梗塞などの怖い合併症を引き起こすことがあります。
今回は睡眠時無呼吸症候群に合併する糖尿病についてご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群では糖尿病のリスクが4.75倍
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の低酸素によりさまざまな合併症を引き起こすことが分かっています。
具体的には、糖尿病や高血圧、肥満、心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)です。
アメリカの研究チームの報告により、治療を必要とする重症な睡眠時無呼吸症候群の方は、健常な方に比べて糖尿病の発症率が4.75倍も上昇することが明らかになりました。
睡眠時無呼吸症候群は低酸素により肥満も起こしやすいので、糖尿病発症に影響する可能性があると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群で糖尿病を発症するメカニズム
睡眠時無呼吸症候群で糖尿病を引き起こすメカニズムは、未だに詳細は解明されていません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群で認められる低酸素と正常な酸素の状態が繰り返されることと、無呼吸から呼吸が始まる時の脳の覚醒した状態が糖尿病発症の原因ではないかと推測されています。
睡眠時無呼吸症候群で体が低酸素状態となると、ブドウ糖の利用も低下するのではないかと考えられています。
ブドウ糖の利用が低下すると細胞でブドウ糖がうまく利用できないので、血液中に糖があふれ、糖尿病となります。
糖尿病は命に関わる可能性もある怖い病気
糖尿病は怖い病気であるという認識がある人は多いのではないでしょうか。
糖尿病が怖いといわれる理由は、血糖値の高い状態が長く続くと体の中の重要な血管や神経が傷んでしまうからです。
血糖値が高くても、自覚症状が出ないことも多く、出ても体のだるさや喉の渇きなど気付きにくい可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群では日中の眠気やだるさを自覚するので、糖尿病を知らない間に合併していても分からないかもしれません。
糖尿病は進行すると血管がボロボロになり、失明したり、腎臓の機能が落ちて透析になったりすることがあります。
糖尿病は狭心症や心筋梗塞のリスクを高めるといわれていますが、睡眠時無呼吸症候群に合併した糖尿病の場合にはさらにリスクが高くなります。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる方は早めに病院へ
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が停止、または呼吸が十分に行われていない状態です。
結果として体の中に十分な酸素が行き渡らず、脳も一時的に覚醒しています。
そのため、寝ているつもりでも睡眠の質が保たれず、起床時にも熟眠感がない、日中のたえがたい眠気、頭痛、倦怠感などの症状が出ます。
睡眠時無呼吸症候群は自分では気づかないことも多く、家族にいびきと呼吸停止を指摘される可能性も。
睡眠時無呼吸症候群にあてはまる症状があれば早めに病院に行くことをおすすめします。
おわりに
睡眠時無呼吸症候群は、治療が行われていないことも多いようです。
睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病や高血圧、心疾患などの合併症を起こす可能性があります。
放置すると死亡するリスクも上昇するといわれているので、持続するいびきや呼吸停止、日中の眠気などの症状があれば病院に行きましょう。
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